寄せる技術   櫂とワンツ−寄せ器

ず-っと気になってやってみたいと思ってた、豆乳を櫂で寄せる。


実は埼玉屋では現在の所、ワンツ−寄せ器という(左の写真)優れものを使い
濃度の高い豆乳(14度前後)に塩田にがりをフレ−ク状のまま使用し寄せあげ
ています。
そうですね、まずはこの道具の使い方の説明から致しましょう。

1、適した温度濃度の豆乳の入っている寄せ桶にワンツ−寄せ器を沈める。
2、豆乳に見合ったにがり(水にがりでも可)を満遍なく、くれてやる。
3、素早くこのワンツ−寄せ器を↑↓に往復ニ回半動かす。
注意 豆乳の量によって回数が異なります、寄り始めますと手に「当たり」が
    感じられますので そこで見切って寄せ作業を止めます。
    この「当たり」を掴むのには回数を積む以外有りません。
    豆乳の種類、温度、濃度、量を揃えれば自然と攪拌回数は決まって
    くるのですが。
 

ところでなんで櫂で寄せてみようと思ったのか?って事は以前テレビで埼玉県の川越に有る
有名な豆腐屋さんで、「小野食品」さんが紹介されていまして寄せる所を放映しておりました。
「ちょっとかっこ良いなー!」なんて思ったもんでして。はい。
それに伝統とか文化とか職人芸みたいな肩書きが付いたらひょっとしたら豆腐の味も美味しく
なるかも知れないな?←おいおいほんとかよ(笑)

なんで小野食品さんの寄せ方が参考になるかと言いますと、テレビで見た限りですけど
原理的にワンツ−寄せ器と同じ寄せ方なんですよね。
豆乳ににがりをぶつけてやる
豆乳ににがりを押しこむ
こんな表現が似合う寄せ方なんで自分もこれなら基本的な寄せ方に対する考えが同じだと思い
試してみることにしました。

ちょっとここで今回使った櫂についての説明を入れます。

左が一般的なもの
昔ながらの寄せ方で、船をこぐようにゆっくりと「の」の字又は
「8」の字を書くように寄せる方法に向いています。ここから「櫂」
という名前の由来が来たそうです。
ただし、濃度の強い豆乳を寄せるのには向いていないかも知れません。

右が特注のもの
豆乳に対して当たる面積も広いのでより力強く寄せあげられ弾力の
有る寄せ豆腐に仕上がる。当然の事ながら手に伝わってくる
「当たり」も感じ取れやすい。

も一回寄り道なんですが、なんで寄せ豆腐に弾力が必要なのか?について語らせて下さい。
私の経験から話しますので不備不具合はご容赦下さい。
豆腐を業者より仕入れ車で販売している方と家でお話しする機会が以前有りまして、その方に
寄せ豆腐をお出しした所いきなり最初に
身ではなく幾分出たお汁を飲むではないですか!そして首を傾げているんですよ・・・・、
変な奴(ごめんなさい)だなって見ていたんですけどね。
そして豆腐を食べるとぐっと驚いていました。その時はトヨムスメの豆腐だったと記憶しています。
「なんでこんなに甘いのですか?、なんでこんなに味が濃いんですか?」そりゃ-トヨムスメだからだよ!
って私が言ったんですが最後に
「美味しいですね、いやお驚きました」これ以上いうと手前味噌なんでこの辺で。
それでその方になんでお汁を先に飲んだのかと尋ねると、
「今まで食べた美味しい寄せ豆腐ってお汁が甘いんですよ」って言われたんですよ。
「そりゃー、違うよ、美味しさが水に逃げてるだけだよ」と言葉にこそ出しませんでしたが。
この事を推理すると多分美味しさを豆腐に閉じ込めておけない製法なのではないかなと・・・・
確かに弾力の弱いものを造るとそういう結果になった事が以前有ります。寄せ豆腐→木綿豆腐に仕上げた時も美味しさが逃げてたようです。  
以上の経験を元に、極めの良い弾力の有る寄せ豆腐を作り上げる事が美味しい豆腐造りの基礎となると私は思います。

続きは次ペ−ジへ


手造り豆腐埼玉屋本店
  あるじ

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